作品
あなたが録音したものはあなただけのオリジナル「作品」です。せっかくですからCD等に編集して仕上げるとかウェブページで公表してみましょう。
この章ではそのための方法や道具を紹介して行きます。
- CDを作るには
- 必要な機材
まずCDに録音する(”CDに焼く”と言われる)ための機器が必要です。最近は一般向けにCDレコーダーが発売されていますが、SCMSというコピー禁止処理が施されていますので、生録というシチュエーションでは少々使いづらい部分もあります。
CD−R(あるいはCD−RW)に焼くのであればパソコン経由が何かと都合が良いのですが、必要な機材が多くなることと、それらをセットアップする手間がかかります。
基本的にはパソコン経由で焼く場合には以下の機材が必要です。
・パソコン
・CD−R(W)ドライブ
・SCSIインタフェースボード(ドライブのインタフェースがSCSIの場合)
・CD−R(W)ライティングソフト
・サウンドカード(本体マザーボードに内蔵の場合もある)
他にCDのジャケットやラベル作成のために次のような機材があると便利です。
・プリンター
インクジェットのカラープリンターが良いでしょう。グラフィクス編集ソフトが添付されていることが多いので、最初はそれで十分です。
・CDラベル作成ソフト
市販のCDラベル用シールにラベルを印刷します。印刷したラベルを正確にCDに貼るのは難しいのでそのための道具が付属しているものを選ぶと良いでしょう。通常CD−Rは金色の盤面にフエルトペンでメモを記入することが出来ますが、これを使用するとかなり見栄えが良くなります。
EPSONのPM920CやPM950C等の直接CD盤面に印刷出来る機種もあり、その場合にはラベルは不要ですが、印刷ソフトは専用ソフトを使わなければなりません。
◆パソコン+CD−Rを使う場合の最も簡単なのは、以下のような経路です。
録音ソースの再生(DAT、MD、カセット他)
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<アナログ>
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サウンドカード(AD(アナログからデジタル)変換を行う) 録音ソフト
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<デジタル>
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ハードディスク上のwavファイル 必要に応じて編集ソフト
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<デジタル>
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CD−R(RW) CD−R書込ソフトが必要
ここで、録音ソースがDATやMDの場合、「何故アナログで取り込むんだろ?」という疑問を持たれるかもしれません。本来デジタルなのですからデジタルのまま取り込みたいところですね。ところが、一般的にパソコンに付いているサウンドカードにはこの機能がありません。デジタルのまま取り込むためにはデジタル端子の付いた高価なサウンドカードやUSB経由でデジタル音声信号を取り込める専用のインタフェースが必要になるのです。
試しに手持ちのソースを一旦パソコンにアナログで取り込んでからそれを再生し、DATやMDに録音してみてください。かなり音質が変わってしまうのが解ると思います。それに、シャーッというノイズも増えてしまいます。
これは、サウンドカードのAD変換機能、DA変換機能が非常に貧弱でクオリティーが低い(元々メモ程度のものですし、あの値段では望むべくもない)のが原因です。
録音ソースの再生(DAT、MD他)
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<デジタル>S/P DIFというインタフェースを使用
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デジタルI/O付きサウンドカードor専用インタフェース オーディオソフト
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<デジタル>
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ハードディスク上のwavファイル 必要に応じて編集ソフト
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<デジタル>
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CD−R(RW) CD−R書込ソフトが必要
音鉄のような目的ならば、単にS/P DIF入力端子さえあればいいので、そのようなシンプルなカードの出現が待たれるところです。最近はカノープスのDAポートやSound Blaster Live!のような比較的安価な製品も出てきました。パソコンの場合、どうしてもノイズ等の点で不利(パソコン自体ノイズの固まりだし今のところオーディオ向けの利用形態はマイナーですからそれについての考慮などされていません)ですから是非ともデジタルのままで取り込みたいところです。
- ソフトウェア
ここで、録音ソフトとしてはWindowsの場合にはOS付属のサウンドレコーダーが使えますが、録音出来る時間が短かったりしますので、是非とももっと高機能なソフトが欲しいところです。比較的入手しやすいのはシェアウェアのCool Editでしょうか。これは雑誌のフロクCD−ROMや窓の杜等のウェブページからも入手できます。
wavファイルの編集ソフトで最も使う機能はフェードイン、フェードアウトや削除(一部分を切り取る)機能です。始まりで段々とボリュームを大きくしたり、終わりで段々と音を小さくして行ったり、取り込んだwavファイルの余分なところを切り取るのに使います。wavファイルの状態で音量自体を変える機能があったりしますが、アナログ取り込みであれば本来取り込みの段階で適正なレベルにしておくべきであり、デジタル化されてから全体のレベルをいじるべきでは無いと私は考えます。
- 気を付けること
デジタルのまま取り込みを行う場合に気を付けなければならないのがこの手のカードは特別なソフトウェアを必要としたり、取り込みの精度が悪くて使い物にならなかったりする場合があります。最近はだんだんと状況が良くなりつつあるとは言え、それでもフルデジタル環境導入のためには十分な事前調査(カタログやHPで仕様や制限を確認し、更にそれらのカードをBBS等で知る)が必要です。
- MD
- 必要な機材
MDの場合には編集時にダビングをする必要が無いのが大きな特徴です。つまり、1台のレコーダーだけで曲の並び替えや不要部分の削除が出来てしまうのです。ただし、フェードイン・フェードアウトが出来ないので、やはり2台でダビング編集をしたいところ。MDの場合にはタイトルやメモをトラック毎に記録することが出来ますので、文字編集のやりやすい据え置き型があると便利です。また、コピー配布を行うためにはデジタルダビングが出来る環境が欲しいところです。
この、ダビング時にフェードイン・フェードアウトやレベルの調整を行うためにはデジタルミキサーを使ってフルデジタルで編集する方法と一旦アナログで出力してアナログで受ける方法があります。デジタルミキサーはかなり高価になりますので、最初はレコーダーTOレコーダーのアナログ編集になると思います。以外とアナログTOアナログの方が良い結果になることもあります。
- ソフトウェア
最近のMDにはパソコンと接続してTOCの編集が出来るものが増えてきました。音鉄のタイトルは長くなりがちですので揃えておくと便利です。
- 気を付けること
MDを使用する場合にはSCMS(Serial Copy Management System)により、孫世代のデジタルダビングに対してコピー禁止信号が記録されます。これを解除する機材もありますが、市販のソフトに対して使用し、配布すると著作権法に抵触しますので気を付けましょう。
- カセットテープ
- 必要な機材
ここで新たに説明するまでもなく、カセットテープがダビング出来る環境があればOKです。ただしダビングのたびにフェードイン/フェードアウト等の操作をしたり、テープを入れ替えたりするのは手間ですから、DAT等でマスターが作れると便利です。パソコンで編集した場合にも、サウンドボードのDA変換は貧弱なことが多いので、デジタルでMDやDATに受け手からそれをマスターにしてダビングするのが良いと思います。
- 気を付けること
アナログメディアのダビングは回数を重ねる程音質が劣化します。せいぜい孫までで納まるように手順を工夫しましょう。
- ウェブページ
近年ウェブページ上で音声を扱う技術が進歩し、より少ない通信量でより多くの情報を発信することが可能になってきました。Real Audio、Twin VQ、WMA等でファイルを作成しておけばいちいち一旦パソコンにダウンロードしなくてもリアルタイムに再生することができます。MP3で作っておけば元のファイルの1/10程度のサイズでかなり高音質で公開することが出来ます。まず、どの形式を採用するかを良く検討して、必要なソフトウェアを用意しましょう。
- 必要な機材
基本的にはCDの作成に必要な機材からCD−R(W)を除いたものが必要です。
まず下準備としてMDやDAT、カセットテープ等で収集した音声をパソコンに取り込みます。大抵のパソコンにはサウンドボードが搭載されており、大抵のサウンドボードにはライン入力端子(LINE IN)があります。これとMDやDATの音声出力を繋ぎます。殆どのサウンドボードには入力用にマイク端子とライン端子が用意されていますが、繋ぐのはライン端子の方です。MDやDAT、カセットのライン出力とサウンドボードのライン入力を繋いで下さい。ライン出力が無い場合にはヘッドホン出力を使いますが、ボリュームを下げ切った状態で再生を初めて徐々に上げて行きましょう。もしもサウンドボード側にマイク端子しか無かったら抵抗入りのケーブルで繋がなければ成りません。そうしないと機器を破損する可能性があります。
- ソフトウェア
パソコンには音声録音機能を持ったソフトウェアがインストールされていることが必要です。Windowsに標準で付いているサウンドレコーダーでは1分間しか録音出来ませんので、もう少し機能の充実したソフトウェアを用意したいところです。Real AudioやSoundVQ等はホームページから無償のソフトウェアをダウンロードすることが出来ます。それらのソフトウェア(Real AudioであればReal Producer、SoundVQであればSoundVQ Encoder)には音声の録音機能もありますので、それを利用すると良いでしょう。
この他では窓の杜ライブラリを探してみるとCool EditやAudio Studio Lite等の音声取り込み・編集ソフトが見つかります。
- 気を付けること
Real Audioの場合には変換の時に指定する条件次第で音質に大きな差が出ます。比較的小さなサイズにとどめることが出来るのですが、あまりクオリティーを落とすと、せっかくの音が台無しになってしまいます。特に鉄道音のようなものの場合にはデリケートな音が思い切り省略されて、携帯電話のような音になってしまいます。どのような変換レートにするかは何度も試してみて妥協点を決める必要があります。
それと、こういった圧縮系のフォーマットの場合には自分が残したい部分が落とされてしまう場合があります。事前に自分が妥協できるラインまでクオリティーを下げておくと変換後のイメージを大きく崩さずに済む場合もあります。
Twin VQとMP3の場合はReal Audioよりも良い品質で変換出来ますが、サイズは大きめ(だいたいwavの1/10程度)になってしまいます。私の感覚ではMP3の方が鉄道の音には向いていると思います。
MP3の場合には変換ソフトによって音質が変わります。これは、MDの音質がATRACのバージョンによって変わるのと同じように圧縮の方法がソフトによって異なるからです。
アナログで取り込む場合には特に気を遣ってください。
再生するテープレコーダーやMDのボリュームは大きすぎないか?
取り込みソフトのボリュームは?
wavファイル等のデジタル録音の場合にはレベルオーバーすると盛大に歪んで、しかも非常に聞きづらい音になります。実際に波形を見てみると頂点でスパッと切れていたり、逆向きに折り返していたりしていてもはや元の波形とは別物になってしまっています。ここで失敗するとその後では取り返しがつきません。
こうしてできあがったファイルをホームページに掲載するには、ファイルをFTPでサーバーに転送し、ページにそのファイルへのハイパーリンクを指定しておきます。
例えば作った音声ファイル名がtest.rmで、FTPで転送した置き先が
http://www.asahi-net.or.jp/~zd9m-skri/test.rm
だったとします。この場合には
<a href="http://www.asahi-net.or.jp/~zd9m-skri/test.rm">音声のテスト</a>
と書けばOKです。
更にRealAudioでストリーム配信(全てダウンロード後に再生開始ではなくダウンロードしながら再生する方法)するためには予め音声ファイルの置き場所のURLを書いたファイルを次のように作っておき、それを転送しておきます。 そして、ページにはそのファイルへのリンクを記述しておけばOKです。
ただし、プロバイダー側で拡張子を正しく登録している必要があります。
test.ramの内容
http://www.asahi-net.or.jp/~zd9m-skri/test.rm
ページの記述
<a href="http://www.asahi-net.or.jp/~zd9m-skri/test.ram">音声のテスト</a>
近年ブロードバンドが普及し、数メガ程度のファイルサイズはそれ程苦にならなくなって来たとは言え、音鉄ファイルは大きくなりがちです。ストリーム配信ならばダウンロードを始めてからすぐに音の再生が始まりますので、気に入らなかったら中止してしまえば良い訳です。
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