編集

収録した音から必要な部分を切り分け、音量、音質等を整えます。レコーダーからレコーダーへコピーしながら編集を行う方法と、最近ではパソコン上で編集を行う方法があります。パソコンで編集する場合、元ソースがアナログメディアならば一度デジタルメディアにコピーしてからデジタルでパソコンへ取り込むことをお奨めします。通常パソコンに取り付けられているサウンドカードはAD変換装置が貧弱で音質の変化が大きかったりノイズが乗りやすかったりすることが多いからです。それらの問題対策が行われている業務用のカードとそれ用のソフトウェアは比較的高価ですので、普及しているMD等でAD変換してから取り込むのが手軽でしょう。
一旦パソコンに取り込むとかなり編集や修正の自由度が高まります。波形を見ながらマイクロホンに物が当たってしまったような耳障りなノイズ部分を削除してしまうことも楽に高精度に出来ます。
ノーマライズ

全編を通して最大ピークの部分が最大許容レベルになるように全体的にレベルを持ち上げることです。この処理によって量子化ビットをフルに使う効率の良いデータになります。

イコライジング

パソコンに取り込んでからのイコライジングはFFTフィルターというソフトウェアで行います。このFFTフィルターはオーディオ編集ソフトのメニューに組み込まれていたり、外付けであったりします。ただし、ソフトの出来によって効き具合や音質変化にかなりの差がありますから事前に十分試しておく必要があるでしょう。いずれにしても音質そのものの変化が大きく、出来ればこれを使わずに済ませられるような収録を心がけるべきだと思います。
古い録音で架線からのハムノイズが派手に入ってしまっているものをこの方法で修正したことがあります。ハムノイズですから、50Hzか60Hzという電源周波数を大胆にカットすれば良いかというと、そうでもありません。音には音程を決める基音と音色を左右する倍音という周波数成分が含まれています。たとえ基音がカット出来ても残った倍音成分のせいでノイズが残ります。その倍音成分がどこの周波数なのかを探すのは結構骨の折れる作業です。更に、同じ周波数帯に他の音が混ざっていたらそちらの音にも影響してしまいます。
ちなみに、ハムノイズの波形を拡大してみると....

何だか邪悪な形をしていますね。ハムノイズとテープのヒスノイズが混ざった音で、他の音は入っていません。
ところが他の部分のハムノイズは....

でもってこの反対のチャンネルでは...

このように様々な周波数成分が複雑に混ざったハムノイズをイコライザーで消し去ろうとするとノイズ以外の音の成分も一部分消してしまうことになるのです。
つまり、ハム除去の操作が他の音に影響を与えてしまうことになるのです。最初から良くモニタリングしてハムの入らないような収録をしておくべきだったのですね。
ダビングによる編集時にはパラメトリックイコライザーやミキサーを使う場合には各チャネルのイコライザーを使用します。

コンプレス

パソコン上ではコンプレッサーという機能を使用します。この作業により小さなレベルの音を選択的に大きなレベルの音に近づけることが出来ます。つまり、音量の小さな部分でボリュームを上げ、大きな部分で押さえるような作業を自動的に行う機能です。かなり自由度の高い設定が出来ますので、逆にそれらの意味と効果を良く把握していないと逆効果になります。
使用するためには事前に十分に試して習熟しておきましょう。
ピーク部分を押さえる為にも使用できるのでかなり用途のある機能ですから是非怖がらずにマスターして頂きたいと思います。
音楽の世界では、ポップス系のCDには必ずと言って良い程使われていますが、クラシック系のCDではほとんど使われていないようです。このことからも解るように、あるがままの音を切り取るのが目的であることの多い音鉄向きでは無いように思えますが、このような処理で演出された音もまた音鉄なり..と言ったところでしょうか。
ただし、コンプレッサーは極端なかけ方をするとかなり不自然になってしまいやすいので私のような「ありのまま」というスタイルでは使用は控えたいところです。使用する場合には良く吟味して本当に必要な場合だけにしましょう。
ダビング時にはコンプレッサーという装置を間に挟みます。


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