機材(録音のための機械類)は音鉄を実践するためには欠かすことができません。いわば、大切な音鉄のパートナーたちです。 ここではそんな音鉄のパートナーたちのことをご紹介したいと思います。 |
黎明期の機材 |
私が音鉄を始めた頃には立派な機材が買える訳も無く、モノラルの乾電池駆動のカセットテレコにチャチな付属マイクが唯一の機材でした。そのような物ですから、良い音で録れている訳も無く、現在の機材に比べればおハナシにもならないレベルなのですが、それでも録っておいて良かったと思います。 一旦失われた音、特に音鉄のような時代を色濃く反映している環境音は決して戻ることはありません。例えどんな音質にせよ音鉄を始めようかな?と考えている人が居れば今すぐにでも始めてみてください。 当時は、野外録音は不可能でしたがオープンリールのテープレコーダーも所有していました。5インチ位のリールの掛かるモノラル機でしたが、鉄道関係のラジオ番組なんかをそれで録音していました。 |
1973年頃 |
そういった時代から一気に音質が向上したのはソニーのTCM−5000というモノラルのテープレコーダーを入手してからです。当時は「所詮カセットだからモノラルで十分」と、解ったようで解っていない生意気な理由からこの機械を選んだのでした。 このテープレコーダーはモノラルのカセットテープレコーダーだけれども3ヘッド構成で同時モニタリングが可能という面白い機械でした。そのためちゃんとモニターさえしていれば録音失敗はありません。今でもほぼ同等の後継機種がソニーのカタログに載っています。もう一つ、変わったい機能に「エンドアラーム」というのがありました。テープの給送軸と巻き取り軸の回転数差を検知して、テープの終わりをランプの点滅で知らせるというものです。この機械はインタビュー向け用途に適していて、今でもニュース番組等で見かけることがあります。 このレコーダーを年中持ち歩いていて、当時好きだったクラプトンやイーグルス、ツェッペリン、ビートルズといった音楽を車内や町中で聞いていました。後にウォークマンが発売された(下町のご隠居が浴衣にウォークマンをしている広告だった)時には衝撃的でした。 |
1977年頃 |
「モノラルで十分」と粋がってみたものの、当時のナマロクブームに乗って友人が買ったソニーのカセットデンスケを見ながら内心は羨ましく思っていたのです。カセットデンスケは野外持ち出し用途を謳っていながら結構大きくて重量がありました。大きさは今のVHSビデオデッキ位あったのではないでしょうか。そういった状況の中、ビクターからKD−2というナマロクデッキが登場し、私はずっと羨望の目で見ていました。このデッキにはドルビー互換のANRS/SuperANRSというノイズリダクション装置が搭載され、デンスケよりも2回り位小さな黒い筐体に大きなアナログVUメーターを2つ並べて装備されていてなかなかの格好良さだったのです。これにFOSTEXのダイナミックマイク2本を組み合わせて主に東北本線の音を収録していました。客車内の走行音は殆どが2本のマイクを1本ずつ手に持つというスタイル(!)で、収録終了後は腕がパンパンになったのは言うまでもありません。 |
1985年頃 |
大学を出てから暫く音鉄から遠のいていました。新婚旅行の時に成田で買った海外向けの録音可能なカセットヘッドホンステレオで水郡線のC56を録った程度です。 |
1995年頃 |
バンドの練習を録音したいという理由で安く購入したシャープのDATで再び音鉄を想い出してしまいました。それで新津口のD51498や蒲原鉄道を録ったのがきっかけです。それからMDでの通勤電車内での収録が始まり、現在に至っています。 気が付くと絶滅の危機に瀕している音鉄たちの何と多いことか...全国にあれだけ居たキハ48系列でもそろそろラストランが言われ始めています。そんな状況の中で、今自分に可能な限りのものを録って、残しておきたいと強く感じるようになりました。幸いバンド関連で集めた機材と知識が使えます。そういう訳で今に至っているのです(^^) |
録音機 | |||
DAR | TASCAM HD−P2 |
現在のメインレコーダーで、DA−P1を使い込んで居て馴染みが有るということも理由で選択。DA−P1同様にマイクプリアンプとファントム電源を装備しており、本格的なコンデンサーマイクも使えるのが最大の強み。
DA−P1のトランスポート部分をCFカードに置き換えたようなデザインと使い心地ですが、メニューの文字が小さいために老眼進行中の筆者には辛いモノもあります。 |
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DAT | TASCAM DA−P1 | この業務用ポータブルレコーダーはマイクプリアンプとファントム電源を装備 しており、本格的なコンデンサーマイクも使えるということで思い切って購入 しました。 メインレコーダーとして随分活躍したこの機材も今では引退です。 | |
DAT | TASCAM DA−20 MkII | 業務用DATでは最も安いグループの機種です。 SCMSに関係無くデジタルダビングが可能ですからDAT同士の編集に活躍 しています。SCMSはデジタル機器を取り巻く環境を考えると必要な機能な のですが、制作時には大きな障害になってしまいます。CDのリッピングでも そうなのですが、制作側の立場に立つ時には身を引き締めてかからないと、 一歩間違えると法律に違反することになってしまいますね。 | |
DAT | SHARP RX−P1 | DA−P1配備以降全く使われなくなりました。 | |
MD | SHARP MD−MS200 | 近所のスーパーの電機売場で平台に積まれて19800円で売られていました。衝動買いです。 | |
MD | SHARP MD−MT831S | 今ではこんなに小さな録音機を3万円せずに手に入れることが出来るようになりました。 | |
カセットデッキ | MARANZ PMD501 |
19800円と、かなり安かったのですが音や機能はまともです。 古いカセットメディアのデジタル化時の送り出しや配布用カセットの作成が主な用途です。 |
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マイクロホン | |||
業務用マイク | SHURE SM57LC |
音楽PAの定番マイクです。価格も安く、あまりデリケートではありませんが、音鉄でも 結構良い音で録れます。 特に車内音では適度にロールオフした低域特性がマッチします。 DAT録りの主力マイクです。 |
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業務用マイク | AUDIX D1 |
もともとスネアドラムの収録に使うマイクです。 下の方までしっかり録れる訳ではない代わりにスッキリとした輪郭のある音で録れます。 コンパクトで良いのですが、携帯ノイズや風には比較的弱いのであまり出番がありません。 |
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業務用マイク | B.P.M. CR−10 |
スタジオ向けコンデンサーマイクです。 結構良い音で録れるのですが、大喰らいでDA−P1のファントム電源では不安です。 キハ75や常総線で使ってみましたが振動にも弱いので殆ど出番がありません。 |
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他にもAKG D3400とかAUDIX OM−5/OM−6等を所有していますが、音鉄にはほとんど使用したことがありません。 | |||
民生用マイク | SONY ECM717 |
胸ポケット等にクリップして手軽にステレオ録音を行うためのSONYの民生マイクです。 何故か音鉄に愛好者が多いようです。 小回りが利き、目立たないのでMD収録に良く使います。 |
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民生用マイク |
AUDIOTECHNICA AT9440 |
これも音鉄の愛好者が多いマイクです。 筒型の小型ステレオマイクで、スポンジのウィンドスクリーンが付いています。 勝負時のDAT収録のバックアップ用にMDに繋いで同時収録しています。 | |
モニター | |||
ヘッドホン | アシダボックス 特スタジオ用 | 一昔前のスタジオ標準のような機種で、装着感がキツいので長時間は辛い | |
AKG K270S | 良いヘッドホンだが何せデカい!音量はかなり小さめでフィールドではキツいこともある | ||
SONY MDR−CD900ST | どこのスタジオへ行っても見かける業界標準のようなヘッドホン、修理パーツ入手可能 | ||
パワードモニター | YAMAHA MS−P5 |
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制作環境 | |||
PC | 本体(SOTEC) |
CPU PENTIUM−4(1.6GHz) RAM 500MB サウンド EDIROL UA−25 意外に古くて貧弱な環境であることがお解り頂けると思います。 効率的な音声編集ということを考えるとCPUやHDDは速ければ速い程良いし、 メモリーは多ければ多い程良いとは思いますが、この程度でも私の作っているも の位ならば十分に作業できます。 |
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PC | 本体(DELL) |
CPU PENTIUM−4(3GHz) RAM 1GB サウンド EDIROL UA−25 編集サイズの巨大化や作業内容の高度化につれてSOTECのマシンではさすがに非効率となりました。 そこで導入したのがこのマシン(ただし中古)です。 HT(ハイパースレデッィング)対応CPUですが古いcool editでどこまで対応出来ているのでしょうか。 |
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プリンター | EPSON PM−D800 |
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音声編集 | CoolEdit2000 |
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マイクロホンによる音質の違い |
私自身もそうなのですが、世の中には星の数程とまでは言いませんが、相当な数のマイクロホンが出回っており、使う側もあれが良いだのこのソースだったらコレしかないだの喧しいことです。そのような評判や評論を耳にするにつけ、いったい何がどう違うのだろうという興味が首をもたげて来ます。 同じ条件で様々なマイクロホンを聴き比べる機会があればそういう好奇心も満足出来るのでしょうけれどもなかなかそんな機会はありませんよね。 そこで、数少ないながら自分の手持ちのマイクでやって見ました。 5メートル程度の築堤の上を行く103系を築堤から20メートルほど離れた位置から狙いました。 試用したマイクはC391B(AKG)、ECM717(SONY)、AT9440(Audiotechnica)、SM57LC(SHURE)、CR−10(B.P.M.)の5機種です。 若干風がありましたのでウィンドスクリーンを使用しています。 このファイルを聴いてみてください。 解りやすいように列車が正面に来る前後1秒、合計2秒を0.5秒間隔、機種は前記の順で並べてあります。 敢えてコメントはしません。 調子に乗ってもう一つ、 このファイルも聴いてみてください。 同じ位置での、AT9440での収録とSM57での収録とを並べたものです。 共にキハ58−1003の窓外を狙っています。 |
SONY ECM717とPioneer CM-S75の中身比較 |
ECM717とCM-S75は外観がソックリです。でも音質等は随分と違う... その疑問を解くカギはこちら |